賞金で生徒集める塾に疑問
群馬県内のある進学塾が「塾生で成績のよい人に奨学金を与えます」と書いたチラシを配布した。
学習塾の“集客作戦”もここまできたか、との思いを強くする。
近年の少子化の影響もあって、学習塾の競争は激しさを増しているといわれる。
この学習塾の場合も、近所に大手進学塾が進出を決めたことに危機感をもったことから、「対抗上やむを得ずやった」ものという。
だが成績順に“賞金”を贈るのが妥当なやり方とは思えない。
今年度中に入塾した中学二年と小学五年を対象に奨学金を贈るというもので、総額六百四十万円、最高で一人あたり四十万円という子供相手にしてはかなりの高額である点が気になる。
「生徒は成績向上を目指して張り切っている」と塾長は話すが、このせりふがどこかむなしく響く。
子供に曲がった教育観を植え付けるという不安は感じていないのだろうか。
この学習塾の姿勢は、受験戦争の激化でゆがめられた学習観に、拝金主義が絡み合って生み出されたようにも思える。
その意味では、現在の日本社会の縮図なのだろう。