ディベートを勉強すれば、相手の主張に対して論理的に、かつ効果的に反論できるようになります。
以下は、新聞の投書欄に掲載された、ドアミラーの非安全性に関する主張とその反論です。まず両方を読んで見て下さい。
主張
先日、初めてドアミラー車を運転した。
その際に気づいたのは、後方確認するときにドアミラーだとフェンダーミラーに比べて視線を大きく振らなければならないという点だった。
特に、助手席側のミラーをのぞくときには視線を移動させる角度が大きく、一秒あたり数十メートルも移動するような高速走行では、左のミラーを確認するたびに、視界の一部に“空白”が生じるのではないかという不安を持った。
ドアミラーは本来、外国製の輸入車にしか装着されていなかった。
それが、1983年の運輸省通達によって、ドアへのミラー取り付け基準が作られたのを機に、今では九割以上の国産車がドアミラー車となっている。
しかし、自動車は本来、安全性を最優先させるべきだ。
スタイルなど外見上の格好良さからドアミラー車に人気が集まっているのかもしれないが、確認の際に視線を振る角度が大きいという点も十分に認識すべきだろう。
また、エンジンを切ると電動で自動的にドアミラーが折りたたまれる車もあるが、路上駐車などの際に後方確認ができなくなり、危険だと思う。
反論
私は現在、ドアミラー車に乗っていますが、フェンダーミラー装着の車より安全ではないかと考えています。
最初に乗った車は、フェンダーミラーが装着されていました。
確かにフェンダーミラーだと、車線変更する時に目線だけで後方確認が素早く出来るので楽です。
しかし、いずれにせよ横の確認のためには首を動かさなくてはいけません。
その点、ドアミラーなら、首を動かすと、同時に横の確認も出来るので、かえって安全だと思います。
このほか、ドアミラーのメリットとしては、右側のミラーが運転席から手に届く位置にあることが挙げられます。
このため、冬などにミラーが曇った時にふいたり、角度を調整するのが簡単です。
エンジンを切ると電動で自動的にドアミラーが折りたたまれる車があって、路上駐車などの際に後方確認が出来ないため危険だという指摘もありました。
しかし、教習所で習った通りに体を後方に向けることで十分対応できるのではないかと思います。
この反論は、以下の点で見事な反論といえます。
1.ドアミラー否定側の主張する、「視線を大きく振らなければ左側が確認できないと」という点と「路上駐車で後方確認ができない」という点の両方に的確に反論している。
2.ドアミラー否定側が左、後方確認を、教習所で教わったように直接振り向いて確認するのではなく、ミラーだけで確認していることを暗黙のうちに指摘している。
3.その上で、安全上のメリットも述べている。
とくに2番目の指摘が優れています。
ドアミラー否定側が危険な運転をしていることを、読者に印象づけてしまったため、この後、いかにドアミラー否定側が再反論を試みようとも、不利は否めないでしょう。
議論は、ドアミラー肯定側の圧勝といえます。(あくまでここでの議論においてのみの話しです)
なお、ドアミラー肯定側/否定側とも、その主張ののべ方として、以下の点で不十分です。
ドアミラー肯定側
- 結論「ドアミラーはフェンダーミラーより危険だ」が主張の最初に明示されていない。
- 根拠が最初と最後に分断されている。
ドアミラー否定側
- 相手の主張に対する反論とドアミラーのメリットが混在している。
以上の点を考慮すれば、それぞれの主張は以下のように述べた方が効果的でしょう。
(述べ方を変えただけで論旨は変えていない)
主張
先日、初めてドアミラー車を運転した。
その際に気づいたのは、2つの点でドアミラーはフェンダーミラーより安全性に劣るということである。
第1の理由は、後方確認するときにドアミラーだとフェンダーミラーに比べて視線を大きく振らなければならないという点だ。
特に、助手席側のミラーをのぞくときには視線を移動させる角度が大きく、一秒あたり数十メートルも移動するような高速走行では、左のミラーを確認するたびに、視界の一部に“空白”が生じるのではないかという不安を持った。
第2の理由は、路上駐車などの際に、ミラーが折りたたまれていると、後方確認ができなくなり危険だという点だ。
ドアミラーは本来、外国製の輸入車にしか装着されていなかった。
それが、1983年の運輸省通達によって、ドアへのミラー取り付け基準が作られたのを機に、今では九割以上の国産車がドアミラー車となっている。
しかし、自動車は本来、安全性を最優先させるべきだ。
スタイルなど外見上の格好良さからドアミラー車に人気が集まっているのかもしれないが、確認の際に視線を振る角度が大きいという点も十分に認識すべきだろう。
反論
私は現在、ドアミラー車とフェンダーミラー車のい両方に乗ったことがありますが、フェンダーミラー装着の車より安全ではないかと考えています。
確かにフェンダーミラーだと、車線変更する時に目線だけで後方確認が素早く出来るので楽です。
しかし、いずれにせよ横の確認のためには首を動かさなくてはいけません。
その点、ドアミラーなら、首を動かすと、同時に横の確認も出来るので、かえって安全だと思います。
エンジンを切ると電動で自動的にドアミラーが折りたたまれる車があって、路上駐車などの際に後方確認が出来ないため危険だという指摘もありました。
しかし、教習所で習った通りに体を後方に向けることで十分対応できるのではないかと思います。
このほか、ドアミラーのメリットとしては、右側のミラーが運転席から手に届く位置にあることが挙げられます。
このため、冬などにミラーが曇った時にふいたり、角度を調整するのが簡単です。
このように、ディベートを勉強していれば、自分の主張を効果的に伝えることも身につけることができます。