否定側はデータを盾に議論を展開
否定側はデータを最大のよりどころに、『体調不良、健康に有害』を主張してきました。
肯定側が、否定側のデータを上回るようなデータを出さない限り、否定側はデータ(事実)を盾に自己の正当性を続けるでしょう。
このようにデータを盾にした主張に対して、十分なデータなしに反論するのは難しいと思うかも知れません。
たとえば、『たかが一時間のずれで体調を崩すはずがない』と主張してみたところで、『そうは言っても、実際フランスでは体調を崩しています。』と言われてしまえばおしまいです。
このため、未熟なディベートでは、データに頼ってしまいがちで、データの比べあいになることもよくあります。
(XX側のほうがデータが新しいので/権威性が高いので信用できるというような議論)しかし、十分な議論力を持ってすれば、データなしでも、データを盾にした主張を崩すことは難しいことではありません。
データと発生過程の両方をアタック
今回の例では、以下の二段構えで反論すれば効果的です。
- フランスの例は例外であり、一般化はできない。(データの意義を否定)
- たかが一時間のずれで体調を崩すはずがない。(発生過程の否定)
以下のような反論例が考えられるでしょう。
否定側は、フランスの例を拠り所に日本でも体調不良が起こると主張していますが、フランスの例だけを理由に、日本も同様とは言えません。
なぜなら、サマータイム制を導入している国は数多くあるにもかかわらず、サマータイム制で体調不良が生じているという国はフランスしかないからです。他の多くの国で問題が生じていない以上、フランスは例外と言えるでしょう。さらに、、『体調不良が原因でサマータイム制が廃止になろうとしている』などということが新聞記事になること自体、そのようなことにニュース性がある、つまり珍しいことであることを示しているのです。
そもそも、たかが一時間早く起きたからといって体調不良を起こすはずはありません。
しかも、一時間早く起きなければならないのは、サマータイム制に切り替わる日だけで、年に一度しかありません。
年に一度一時間早起きしただけで体調不良になるなら、サマータイム制を導入しなくても、全国民は年中体調不良を起こしてしまいます。
なお、尋問のときに、サマータイム制によって体調不良が生じていて問題になっている国が、フランス以外にあるかを質問しておくと効果的です。